労働安全衛生総合研究所

働く人の安全に関する研究施設の公開(清瀬地区)
– 令和6年度一般公開を終えて –

 4月17日(水)の13時から16時45分まで、対面形式では5年ぶりとなる清瀬地区の研究施設一般公開を開催しました。この一般公開は当研究所の活動を知っていただくことはもちろんですが、普段は話す機会のない皆様と研究者が交流し、どのように労働災害を防止するのかを考える場にもなっています。
 当日は事前にご予約いただいた多くの方々にご来場いただきました。平日にもかかわらず近隣だけでなく、遠方からのご来場も多く、我々としても産業安全への関心の高さを再認識する機会となりました。ご来場下さった方々には心よりお礼申し上げます。
 今回は6件の施設について公開を行いました。当日お越しになれなかった方もいらっしゃると思いますので、それぞれの公開内容を簡単にご紹介します。

(1) 材料・物性実験棟(500t実験室、高速回転等実験室)

『金属材料や鋼構造物の破壊試験で活躍する試験機』
 普段の研究で実際に使用している試験機の実物を間近に見ていただき、構造物などの破損事故を未然に防ぐための研究の取り組みを紹介しました。

写真1



(2)墜落・転落防止実験棟(恒温恒湿実験室)

『墜落実験施設の紹介』
 労働現場のみならず、日常生活においても多数の死傷災害が発生している「墜落・転倒」について解説し、墜落・転倒に関するこれまでの研究成果とともに、実験で用いる人体ダミーやヘルメットの選び方などについて紹介しました。

写真2



(3) 配管等爆発実験施設(中規模爆発実験室)

『リチウムイオン電池の圧壊による発火実験』
 廃棄物処理施設においてリチウムイオン電池(LiB)が混入したことによる火災が頻発しており、その危険性を理解していただくため、円筒型電池を手動プレス機で圧壊した際の発火の様子をご覧いただきました。
 
写真3


(4) 電気安全実験棟(粉体帯電実験室)

『粉体投入時におけるサイロ内部の静電気危険性評価』
 粉体の輸送、貯蔵、および集じんなどの工程で問題とされている、帯電粉体からの静電気放電による火災・爆発についての事例紹介や、除電対策について解説しました。
 
写真4


(5) 共同研究実験等(VR実験室)

『複合現実(MR)を用いた高所作業体験』
 複合現実(MR)により高所作業を再現するシステムについて解説し、その後、実際に機材(ヘッドマウントディスプレイ)を装着して高所にいるような感覚を体験していただきました。

写真5


(6) 機械安全システム実験棟(大実験室)

『統合生産システムの支援的保護装置など機械の安全対策』
 単体の機械を組み合わせた 統合生産システム(IMS)(安衛研ニュースNo.28) の安全性向上のための設備的対策として、ICT機器を組み合わせた支援的保護システムの安全性評価に関する内容や、安全で使いやすい歩行支援機器の設計・運用に役立てるための取り組みとして脊髄損傷者用の歩行支援機器の評価研究に関する内容を紹介しました。

写真6


 なお、当日配布したパンフレットは、下記のURLからPDFファイル(637KB)をダウンロードしてご覧ください。
https://www.jniosh.johas.go.jp/announce/2024/open2024/pdf/R6_kiyose_pamphlet.pdf

おわりに


 実験室という制限のあるスペース内での見学のため、ご不便をお掛けしたことをお詫び申し上げます。ご協力いただいたアンケート結果等をもとに少しでも改善できればと考えています。
 来年も同時期に開催する予定です。またのご参加を所員一同、心よりお待ちしております。

(建設安全研究グループ 上席研究員 堀 智仁)

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