労働安全衛生総合研究所

技術資料 TD-No.3 の抄録

作業現場における地耐力確認の方法– 移動式クレーンを含めた建設機械等の転倒防止対策 –

TD-No.3
玉手 聡,堀 智仁

 本技術資料は,移動式クレーンや基礎工事用機械などを含めた建設機械等が,地耐力不足のために転倒する災害を防止するために,設置する作業現場の地耐力を確認する方法を示したものである.これまでの研究から明らかになった動的転倒の危険を指摘したうえで,安定確保には地盤の「強さ」と「沈下量」に加えて降伏後の「沈下速度」の条件の考慮が必要なことを述べた.そして地耐力確認では,載荷圧力paに対する極限支持力qdの比である支持力安全率Fsを求めて閾値SRと照査することとし,SRの値は急激な沈下による転倒危険を考慮して,3.0を標準とすることを提案した.地盤調査の方法については,代表的な手法を整理して留意点を述べるとともに,新たな調査法を検討した.そして,作業現場における仮設の地耐力確認の観点から,効率的かつ簡便な「現場地耐力試験」の新たな方法も提案した.法令等では「堅固」な面へ設置や「軟弱」な地盤上での使用禁止を述べているものの,その表現が定性的であることから現場での評価や判断は異なる現状も認められる.本研究では,必要地耐力を定量的に示すとともに,その確認の方法を示したうえで,安全レベルの向上に必要な対策を述べている.


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