労働安全衛生総合研究所

研究報告 TN-76 の抄録

プラスチック製フランジのセーフ・ギャップに関する研究(第1報) –セーフ・ギャップの消炎素子の熱伝導度に対する依存性–

TN-76-1
鶴見平三郎
まえがき
 近年消炎素子として各種の材料が用いられんとしており,特に高分子化学の画期的な進展に伴い強度的にすぐれたプラスチック材料が得られ,これを高圧ガスのボンベに用いようとする動きがあることからしても,小型耐圧防爆構造電気機器の容器としてプラスチック材料を金属製容器に代わるものとして使用せんとすることは,当然のことといわざるをえない。しかし,このように耐圧防爆電気機器のプラスチック容器(以下,耐圧防爆プラスチック容器という。)として用いる場合,安全工学上からみて容器フランジのギャップからの消炎の可能性が必須の要件である。すなわちプラスチック材料を用いた場合のセーフ・ギャップ内の火炎の挙動が基本とならざるをえない。
 現在,セーフ・ギャップについての消炎の理論については,いまだにつぎのような二つの学説にわかれている。
  1. 火炎がギャップを通過する間における heat release の balance によって消炎の可否が支配されるという理論。
  2. ギャップから外側に突出する燃焼生成物が,外側の未燃ガスを発火せしめる速度に依存するという理論であり,これは entrainment rate theory といわれている。
 これらの関係を文献からみると,Grimshaw および Payman は,鉱山用爆薬を容器の内部で爆発させ,ギャップから燃焼生成物が噴出したが,容器外部の CH4–容気系混合ガスに着火しなかった状況について,写真撮影に成功し,この現象がフランジの材料の冷却作用によるものであり,セーフ・ギャップの消炎現象は,本質的には,材質の熱伝導度に支配されると論じた。
 しかし Staples は,前記の見解と異なり熱に対する特煙が異なる二つの材料すなわちベークライトと青銅の最大実験的セーフ・ギャップ(以下M.E.S.G.という。)に有意な関連が認められないことをしめした。
 したがって,セーフ・ギャップによるところの消炎の現象は,熱収支の理論にもとずくものであるか,あるいは,それ以外の理論に根拠を有するものであるかを解明することが必要である。
 ひるがえって応用工学的にこの問題を各国の所謂,防爆構造電気機器の規格からみると,ギャップの最大許容値に対して,ソ連の規格である「工場防爆および鉱山電気設備製造規則,OAA・684, 053-67」においては,金属容器とプラスチック容器のギャップの最大許容値に,それぞれ異なった値を採用している。これに反して,ドイツ連邦共和国のそれである「VDE・0171」においては,このような定めをしていない。
 このような観点から,燃焼学的にみてもあるいは,実用工学的な見地に立っても,最近大いに活用されんとしているプラスチック材料の実験的セーフ・ギャップの挙動を解明することが,耐圧防爆プラスチック容器の開発に関する研究の第1関門として取りあげられたものである。

災害発生間隔の分布について

TN-76-2
花安繁郎
はしがき
 一般の労働災害の発生原因を考えてみると,ほぼ偶然に近い場合から,様々な要因なり原因によって,ある因果律に従う決定論的な起こり方をする場合まで,様々なケースが考えられ,非常に複雑である。従がって,災害調査の内容は,多数の調査項目に亙ることが多く,また災害データーを集め,統計的に整理を加え考察を行なう場合,様々な観点からの検討が必要となってくる。
 本研究は,災害データーを様々な観点から分析を行なう中で,その一つとして,災害の発生する時間間隔の分布,すなわち災害が全く発生しない無災害である時間の分布に就いて考察を行なったものである。
 以下第2章において,まず,ある仮定にもとづいた確率モデルから発生間隔に関する分布式を求め,同式からさらに発生件数の分布式を求め,この発生件数の理論的分布を実際の災害件数の分布と比較して,前記仮定の妥当性を論じている。またこれらの分布式の中のパラメータが,災害度数率と端的に結びつくことに着目して,度数率と無災害達成の確率との関係を数表化し,各事業場等において安全管理計画を立てる場合の参考となるようにしている。
 さらに,現在行われている無災害記録表彰制度の中の表彰基準時間等について,これを検討して欲しいという意見が,行政方面よりあったので,第3章でこの問題について論じている。

プロパン—空気系混合ガスの実験的最大セーフ・ギャップの圧力依存性に関する研究

TN-76-3
鶴見平三郎
まえがき
 この論文においてセーフ・ギャップの圧力に対する依存性とは,試料とする可燃性ガスおよび蒸気の着火前の初期圧力の変動に伴ってセーフ・ギャップの値が如何に変動するかをいうものとする。
 そしてこのことは,高圧下における防爆工学上の諸対策からみても,重要な研究項目の一つである。
 これらの観点から,セーフ・ギャップの圧力に対する依存性に関する研究は,各国の研究者によってこれまで取りあげられてきた。
 これらの研究のうち代表的なものとして K.H.Gro-bleben および K.Nabert の研究結果などがあげられるが,前者は,CH4, 都市ガスおよび H2 を対象とし,後者は,CH4, C2H4 および n-C6H14 の炭化水素と H2 を対象として,いずれもこれらのガスと空気との混合物についての実験値を発表している。
 この種の研究の内容の詳細については,鶴見の調査結果を参照して頂きたい。
 いずれにしても,セーフ・ギャップに及ぼす圧力の効果は,これらの文献値からわかるとおり,ガスおよび蒸気の物性に対して依存性を有しているから,さらに各種のガスおよび蒸気を対象として実験値を蓄積して行く以外に解明する方法を見出しえない。
 この研究では,上述の各種文献に実験値がしめされていないガスおよび蒸気を対象として実験を行なうこととし,現下最も爆発災害の多い C3H8 をその対象ガスとして取り上げ,そのセーフ・ギャップの圧力依存性を解明したものである。

微小空間における爆発火炎の金網による阻止 –警報器検知部への応用の検討–

TN-76-4
林年宏
緒言
 1815年のH.Davyの発見以来,金網の消炎能力の利用について研究がなされてきているが,金網を消炎素子とする火炎防止器(フレーム・アレスタ)の設計に際しては,可燃性ガスの種類・濃度・圧力や爆発空間の形状・寸法などのファクターを考慮に入れなければならず,これらについては最近の報告でも明らかにしたが,それぞれの場合に応じて金網の特性値(目開き,厚さなど)を適切こ選択する必要がある。本報では,内容積が 20 ㎤ 以下の微少な円筒状空間内において生じた爆発火炎の伝播を金網によって阻止することについて実験し,実際上このような条件にあてはまると考えられる可燃性ガス警報器検知部(以下,検知部という)への応用の可能性について検討した。
 検知部はガスの漏出を検出する機器であるから,ガスに対する応答性が良くなければならない。防爆構造の接触燃焼式検知部の燃焼室は,熱線をフレーム・アレスタで囲んだ構造とすることになっているが,このフレーム・アレスタが応答性のneckであることは明らかである。現在のところフレーム・アレスタとしては焼結金属を用いているが,焼結金屑はその成型加工上の制約や強度的な面からどうしてもある程度(2 ㎜)以上の厚さを必要とし,このため(消炎能力の点では充分安全であるが)通気抵抗が大きくなり,実用上応答性に問題がなくはない。もし金網の利用により,安全性が充分で通気抵抗の小さいフレーム・アレスタを得ることができれば,検知部本来の目的をより好ましい形で果すことができよう。
 防爆電気機器の一部としての金網の使用は,従来まったく例のないことであり,基本的考え方について論議を要するところであるが,消炎能力について充分な根拠が得られ,かつ,加工時の網目の変形や外傷保護などの技術的問題が解決されれば,ある限定された範囲内での使用は可能であると考えられる。

プレスの安全距離に関する研究 –モデル作業における手の速度とストップタイムの現場測定について–

TN-76-5
深谷潔,杉本旭,佐藤吉信
まえがき
 プレスの安全装置のうち,光線式のものには,光線を切ってからラムが止まるまでの間に,手が金型の間に届く可能性がある。両手操作式のものにも,両手ボタンを押してからラムが下り切る間に,手が届く可能性がある。それに対して,両手操作式では,毎分ストローク数(以下spmと表わす)が120以上というかたちでおさえられている。しかし,危険性とspmとの関係が必ずしも明確でない。
 近年,アメリカ・西ドイツでは,「安全距離」という概念を用いて,それらの危険性を明確にしてきている。すなわち,両手ボタンまたは光線と危険域—金型の手前の端—間を「安全距離」だけ離しておいて,手が「安全距離」だけ進む間に,ラムが下り切るかまたは停止するようにしようというものである。そうするためには,どのようにして「安全距離」を決定すればよいであろうか。
 両手操作式のものについては,まず両手ボタンを押してから,ラムが下死点に下り切るまでの時間 を知る必要がある。これはspmがわかれば,容易に概算できる。
 例えば,ポジティブクラッチの場合は,クラッチピンまたはローリングキーが受け部と噛み合ってラムが動き出すまでの時間 τ1 と,ラムが上死点から下死点まで下る時間τ2 の和となる。後者は,クランク軸が半回転する分の時間である。前者は,両手ボタンを押したときのピンまたはキーと受け部の相対位置によって異なるが,安全のためにはその最大時間を考えればよい。それは,一つの受け部から次の受け部までの時間となる。例えば,受け部が一つのときはクランク軸の1回転の時間,二つの時は半回転の時間となる。従って, はspmを用いて次のように表せる。
   = ( 1/n + 1/2 ) × 60/spm (sec)
  n:噛合い数(ピンまたはキーの受け部の数)
 フリクションクラッチの場合も,上述の噛み合い数nが無限大と考えれば,上式が適用できる。
 光線式安全装置では, に対応するものとして,光線を切ってからラムが停止するまでの時間(以後ストップタイムと称す) を知る必要がある。これは,ブレーキの調整などによって変化すると考えられるので,原則的には1台1台について測定することが必要であろう。
 次に,人間の手の速度を知る必要がある。これは姿勢やストロークなどにより変化すると考えられるが,プレス作業における手の最高速度 をおさえればよい。
「安全距離」は, の積または の積として求められる。
 我国では,この「安全距離」という概念をまだ取り入れてはいないが,導入を検討する価値はある。アメリカ,ドイツでは,前述の の値として,1.6 m/s という値を採用しているが,この値が必ずしも我国の実情に合っているとは限らない。また,我国では の値が公表されてはいない。本研究では「安全距離」の導入を検討する際の参考資料とするため,手の速度 とストップタイム の測定を行なった。

アセチレン—空気炎の爆ごうへの転移及びその中断 –管路に挿入した多孔板の影響について–

TN-76-6
林年宏
緒言
 爆ごう(デトネーション)は火炎の伝播する形態のひとつであり,伝播速度と破壊力の大きいのがその特徴である。長い配管などの内部の爆発性混合ガスが発火すると,火炎は最初燃焼波として比較的ゆっくり伝播するが,混合ガスが爆ごう限界内の濃度であれば,ある距離を経たのち急速に伝播速度を増し,爆ごうへと転移する。爆ごうに転移した直後には異常に大きい伝播速度が観察される(これをオーバー・シュートと呼ぶ)が,安定な爆ごうとなったあとは一定速度となり,その速度(以下,爆速という)は静止混合ガス中を伝わる音波の速度よりも大きい。
 爆ごうについての理論的解析はかなり進んでおり,化学平衡を考慮に入れた計算により爆ごう波の諸特性値を求める方法も開発され,理論と実験がよい一致を示すことが知られているが,燃焼から爆ごうへの転移のメカニズムについてはまだ充分に解明されたとは言えないようである。
 本報では,1および2インチの密閉直管中におけアセチレン—空気混合ガスの火炎伝播速度(以下,単に火炎速度または速度ということがある)の変化を測定し,混合ガスの濃度・圧力,管の長さなどがこれにどう影響するかをしらべた。この結果,混合ガスに点火したのち爆ごうに転移するまでに火炎が進む距離(爆ごう誘導距離という)を種々の条件について求めることができた。爆ごう誘導距離に影響する因子はいろいろあるが,実験の結果は,それらの因子について具体的なデータを与えると同時に,爆ごう誘導距離についての大まかな目安を与えるものである。
 この報告ではまた,1インチ管中に挿入した多孔板が火炎速度に及ぼす影響についてもしらべた。筆者はすでに水素—空気系について,多孔板により爆ごうが中断することを示したが,本報では中断後に爆ごうへ再転移するまでの挙動について論じた。更に,爆ごう誘導距離に対する多孔板の影響をも検討したが,これは,爆ごうを中断させたあと消炎するというタイプのデトネーション・アレスタの中断機構部として多孔板を用いることの可否をしらべたものである。管路に存在して火炎を乱す作用をなすであろうような障害物は,火炎伝播を加速し,爆ごうへの転移を促進するとされているが,本報の実験では爆ごうへの転移が逆に遅らされるという結果が得られた。

トンネル建設工事における労働災害の分析(2) –山陽新幹線広島・山口県内のトンネル災害について–

TN-76-7
前郁夫,花安繁郎
まえがき
 我が国のトンネル施工技術は,戦後昭和20年代後半より米国からの機械化施工の技術導入を皮切りに近代化が始まり,その後幾多の施工実績を踏まえる中で,地山に応じた掘削工法の開発,地質調査法の改善,湧水処理技術の改良と開発,施工関連機器の改良など施工全般に亙り大きな改革が行なわれ,その結果我が国特有の湧水,軟弱地盤,断層破砕帯等の悪質地盤の克服や,省力化,施工速度の向上など多くの成果をあげ今日に至っている。
 一方トンネル建設時における労働災害は,施工技術の進歩と共に発生数,災害発生率はともにかなりの減少がみられたものの,未だに他産業に比し高い災害発生率を示している建設工事の中でも一段と高い発生率を示しており,かつ災害程度も重篤なものが多い。
 また近年の新幹線,高速道路トンネル工事に代表される工事量の増大と,施工規模の拡大は,労働力の質的低下,量的不足を招き,必然的に大型機械の投入による施工の能率化を急速に普及させる結果となった。大型機械による施工は省力化,施工速度の向上など能率面では大きく貢献したものの,反面労働災害の面では人間機械系システムの不備などによる新たな災害要因を生み出し,災害発生率の低下はここ数年鈍化,あるいは停滞の状態にある。
 我々はこれまで,これらトンネル施工中の災害の実態を把握すべく調査,分析を進めてきているが,今回山陽新幹線II期工事(岡山—博多)中のトンネル建設工事において発生した労働災害に就いて,調査,分析を行なったので,それらの結果と考察をまとめて以下に報告する。

立位作業における外力による転倒限界に関する一考察 –柱状作業との関連において–

TN-76-8
山野英記,田畠泰幸,寺沢正義
はしがき
 作業姿勢は作業者の安全が確保されるための重要な要因である。作業者は身体が安定転保持される姿勢でなければならない。特に架空線関係の柱上作業,その他の高所作業,危険物近接作業などでは,不安定な姿勢による身体の振れ,転倒などは即命取りにもなりかねない。また時によってはこれが電撃など他の災害の原因になることも少なくない。
 以上のように,身体の安定,もしくは立位保持は安全工学の立場からも,人間工学の立場からも基本的な問題であり,この問題は一般に力学的,生理学的あるいは制御工学的な多くの要因に依存している。しかし中でも力学的問題はもっとも基本的である。したがって本研究では,立位保持に必要な,あるいは有利な力学的条件を調べることを目的とし,主として静力学的検討を行なった。本研究は特に仮足場を使用した柱上作業を想定し,この場合の身体の安定について静力学的検討を行なった。ただし,身体の安定については静力学的範囲に限定しても,一般には未知数が多く解析できないことが多い。このため理論解析では目的に応じ,いくつかの仮定を採用した。また,ここで考察したことは柱上作業における身体の安定であるが,その内容の大半は他の場合にも共通な基本的問題である。ただ,「歩けない」という制約,および胴綱の束縛という点で柱上作業の特徴が現れている。
 身体の立位保持を静力学的に取り扱うときには,足がすべらない場合と足がすべる場合の2つに大別される。前者については,身体に外力が作用してつりあいがくずれ転倒に至る。したがって,つりあいが保持される最大の外力が問題であり,これを理論および被験者を使った実験によって求めた。またつりあいの安定性についても比較考察した。これらの解析からは身体の安定性に関する重心の位置,外力作用点の影響も明らかとなった。
 一方後者の足がすべる場合については,これが転倒などの新たなきっかけとなり,身体が不安定になるため立位が保持されない。したがって,立位を保持するために足の受ける反力と,これに必要な足と床(足場)との摩擦係数について,理論的・実験的考察を行ない,その効果を示した。

爆発及び爆ごう抑止器の実用化に関する研究(第1報) –2及び4インチ管中における火炎伝播の阻止–

TN-76-9
林年宏
緒言
 固体細隙における消炎現象について幾つかの研究がなされているが,これらは実験の規模も小さく,また,平行平板細隙や円筒状細管などの比較的単純な消炎モデルをを対象としており,細隙の大きさや奥行,断面形状などの影響については有益な知見を与えているが,金網や焼結金属などの消炎阻止についての実用的なデータは余り得られていない。従って,ある条件下(ガスの種類・濃度・圧力,爆発空間の形状・寸法など)の爆発火炎を消炎するにはどのような特性(細隙の大きさ,厚さなど)の消炎素子を用いればよいか,あるいは逆に,ある消炎素子を用いればどの程度の爆発火炎の伝播を阻止できるか,という問いに対して明確な答を出すことは極めて困難であり,火炎防止器の実用化に当っては種々の条件下における実験データの蓄積が必要である。
 筆者は既に1インチ管中における火炎伝播の阻止について幾つかの報告を行ってきたが,火炎伝播の様相が管径にかなり影響されることが知られており,大口径管中での消炎挙動についても確認する必要があるため,本報では主として2および4インチ管中での消炎(爆ごうの阻止を含む)について検討した。消炎素子としては,実用性が高いと考えられる金網と焼結金属を対象とし,アセチレン—空気炎と,比較的消炎されやすいプロパン—空気炎について実験した。なお,従来は密閉管中での挙動を調べてきたが,本報では爆発管の一部が大気に開放されている場合についても実験した。
 本報では特に,種々の条件下でのデータを求めることを目的としたので,実験内容は必ずしも系統的ではないが,各種条件下でそのまま利用できるデータが得られたほか,消炎に影響する因子について二,三の新しい知見を示すことができた。

特殊簡易足場の安全性について –簡易わく組足場および低層わく組足場の安全性について–

TN-76-10
森宜制,小川勝教,河尻義正
はじめに
 鉄骨・鉄筋コンクリートの建築工事における足場として,組立,解体が迅速容易に行えるわく組足場が多年使用されている。従来のわく組足場は,わく幅900・,200㎜ の鳥居型をした形状の建わくを組上げた足場であった。
€  最近,市街地の建築工事において敷地に余裕がないことにより,わく幅の狭い方杖型の建わくを用いたわく組足場(簡易わく組足場と呼ぶ)が使用されている。また方杖型のわく組足場の中には,木造住宅など高さが10m 以下の建築工事に用いる足場として用いられるもの(低層簡易わく組足場と呼ぶ)もある。
 これらのわく組足場は,構造および使用上の点について安全性が十分に検討されてないため,従来のわく組足場と同様に扱うと危険である。よって,これらの方杖型わく組足場の構造的な安定性および使用上における問題点について調べたので,その結果を報告すると共に,それらの足場の構造および使用上の注意点を述べる。


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