労働安全衛生総合研究所

研究報告 TN-82 の抄録

産業用ロボットの危険性とFTA

TN-82-1
川口邦供,杉本旭,佐藤吉信,袴塚禎三
 産業用ロボットに起因する災害やヒヤリ事故例が検討され、ロボットの安全上の問題点が明らかにされた。さらにロボットに関連する人手作業を人間–ロボット作業システムとしてとらえ、ロボットによる事故が「エネルギ変換型」であることから、そのシステムに含まれる各種のエネルギについて考察し、ロボットの事故の型の同定がされた。さらにFTによって解析評価され、原則的な安全対策の方法が論じられた。(図3,表6,参14)

階段・通路の安全性に関する研究(第4報) –階段、床(水平面)、梯子、足場での墜落死亡災害の傾向と分析–

TN-82-2
永田久雄
 階段,床(水平面),梯子,足場での墜落死亡災害について,人口動態統計より調査した。足場災害を除いて,高令者の死亡率が高く,今後,高令者の人口の増加に伴なって死亡者数が増大してゆくことが予測された。現在,労働災害による死亡者数は減少してきているが,労働者の高年令化や退職年令の引上げに伴なって,労災死亡者数の増加は充分に考えられることである。その他に死亡者の月別傾向,傷害の性質,傷害の発生場所等についても分析をした。(表16,図12,参8)

災害事例分析「コンクリートはりに埋込まれた鉄筋製のU型つり手の破壊事故」

TN-82-3
田中正清,前田豊
 昭和56年2月,東京都下のビル建築現場で天井コンクリートはりに設置した鉄筋製U型つり手が荷のつり降し作業中に破断して作業員2名が荷と共に墜落して重傷を負った。
 事故原因究明のため,事故状況,破断面形態,つり手の負荷状態(応力計算),つり手の強度確認試験などの調査検討を行った。
 その結果,この事故は本つり手のように冷間曲げ加工すると極端に強度の低下する鉄筋材を主要部材として用い,しかも,つり降し作業でのつり角がU字型にとっては非常に厳しい斜め負荷状態で使用したためと判明した。

防爆電気機器本体への導線引込方式について –耐圧単孔パッキン式–

TN-82-4
坂主勝弘
 耐圧パッキン式引込方式は、耐圧防爆構造の容器壁の一部に導線引込部(パッキン、座金など)を設けて、導線を通じて容器内部に通電するものである。
 研究の目的は、パッキンの圧縮率と導線の変形との関係及びそれらと耐圧防爆性との関係について検討した。(表15,図25,参1)


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