労働安全衛生総合研究所

研究報告 TN-84 の抄録

小規模工事用ブラケット一側足場の昇降設備に関する研究 –ステップ付斜材の人間工学的研究–

TN-84-1
永田久雄,江川義之
 小規模建築工事用の一側足場の昇降設備として,垂直固定梯子が一般によく利用されているが,筋かい,布パイプ,建地を使って昇降できることもあって,十分に活用されていない。そこで,筋かいにステップを溶接することによって,その昇降をより安全なものにしてゆくことができると考えられる。
 本研究では,垂直固定梯子とステップ付斜材の人間工学的な相違点について,動作分析,寸法の主観的な評価を通して,実験的に明らかにした。その結果,ステップ付斜材は,一側足場の昇降設備としては,垂直固定梯子より優れており,特に足場板への乗り移りの動作時間が短くてすみ安全であることが確認できた。ステップ付斜材の好適寸法を111人の被験者によって検査した結果,ステップの足掛り寸法 21㎝(推奨範囲 18・4㎝),ステップ間隔 40㎝(推奨範囲 35・5㎝)が最適であることがわかった。(表6,図7,写真4,参3)

高圧用ゴム手袋の紫外線照射による劣化

TN-84-2
市川健二
 高圧用ゴム手袋は,使用期間中に受ける種々の要因によって劣化する。その劣化要因の1つに紫外線がある。本報は新品の高圧用ゴム手袋に紫外線を照射して,電気的及び機械的性質の劣化傾向を調べた。(表1,図26,写真5)

わく組足場の変則使用における座屈強度に関する研究 –建物側の交さ筋かいを取り外した場合について–

TN-84-3
小川勝教
 わく幅 600㎜,900㎜及び 1,200㎜の建わくを用いた5層1スパン,10層1スパン,5層5スパンのわく組について,片側の交さ筋かいを取外した場合の座屈強度を調べた。その結果,片側の交さ筋かいの取外されている層数と座屈強度,各層に設けられている布わくのわく幅と座屈強度及び布わくが設けられてない場合の片側交さ筋かいのわく組の座屈強度が明らかになった。(図13,表10,参4)

日本人の身体計測と安全ガードの標準化

TN-84-4
杉本旭,深谷潔
 安全ガード等の設計は,身体寸法に基づいて行なわねばならない。そのための基礎資料とするために,日本人787人についての身体計測を行なった。測定は,身長,体重などの一般的項目の他に,各種の柵に対するリーチ等の安全問題に直結した項目について行なった。また,被験者は,職種・性別等により5群に分けられる。
 この測定データに基づき,安全ガードの標準化案を作成した。(図19,表23,写真3,参4)


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