労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-79 の抄録

工場電気設備防爆指針

TR-79-1

 当研究所においては,可燃性ガス又は引火性液体により引火爆発の危険がある場所に設置する電気設備の安全性の向上を図るために,昭和29年6月,日本電機工業会,日本電設工業会及び日本化学工業協会の協力を得て,工場電気設備防爆委員会を組織し,その審議を経て,昭和30年10月,工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)を制定発表した。以来引続き研究及び委員会活動を継続し,昭和36年,40年,45年,及び49年にそれぞれ全面的改正を行ない今日に至っている。

 この間,防爆指針は,我が国工場における防爆電気設備に関する唯一の技術指針として広く活用され,JIS規格及び関係法令の制定に際しては,そのよりどころとして使用されている。

 その後も引続き防爆電気設備に関する内外の動向について検討を加え,指針の全面的改正を行なうこととし,社団法人産業安全技術協会の積極的な協力を得,同会の関係研究委員会において改正案について実質的な審議を進めてきた。ここに漸く一応の成案を得たので,これを工場電気設備防爆委員会に諮って指針として制定し,発表する次第である。

 今回の改正にあたっては

  1. 推奨基準としての内容の整備充実
  2. 国外関係規格(IECなど)との協調
  3. 国内関係規格との関連におけるレベルアップ

の三つの基本方針のもとに審議を進めたが,その主要な改正事項は,次のとおりである。

  1. 指針全般を通じて用語の統一,重複部分の整理,表現の明確化を図ったこと。
  2. 爆発性ガス及び危険場所の分類,危険場所の判定,電気設備の選定などについて,大幅な条項の整理及び内容の充実を図ったこと。
  3. ケーブル配線,本安回路の配線及び地気保護について,内容の整備充実を図ったこと。
  4. 各防爆構造ごとに,それぞれの主な基本条件を明記するなど内容を整備したこと。
  5. 試験方法及び保守については,防爆構造別に内容を整備したこと。

 なお,でき得る限りIECとの整合を図ったが,国内事情などの理由から今回の改正において残された問題も多いので,今後も引続き審議を重ねその内容を整備する予定である。

 爆発災害防止が重要な課題として各方面から強く要請されている現状に鑑み,この指針が,爆発危険場所における電気設備の安全性の向上に更に一層活用されることを望むものである。

 最後に,今回の指針改正にあたり絶大な御協力を頂いた委員各位並びに関係協会に対し深く感謝の意を表する。

昭和54年10月1日  労働省産業安全研究所  所長  川口 邦供


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