労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-83 の抄録

プレス機械の安全装置構造指針、プレス機械の安全装置使用指針

TR-83-1

 プレス機械による災害は,身体の一部がスライドに挟まれることにより発生するものが多い。これらの災害防止のための主要な手段として安全装置があり,プレス機械又はシヤーの安全装置構造規格などの関連法規が定められている。しかしながら,上記のような災害は近年も続発しており,プレス機械の安全装置の有効化を図り,これらの災害を防止するための具体的な技術指針の作成が強く望まれているところである。

 そこで,当所ではこのような適切なプレス機械の安全装置技術指針を定めるため昭和56年8月,社団法人産業安全技術協会にその原案作成を委託し,昭和58年12月,同協会より答申を得た次第であり,本指針は同答申に更に部内の検討を加えたものである。

 一般に,プレス機械による災害の防止には,その安全装置の機能の有効化を図るための構造が必要であるとともに,各種プレス機械に応じた適切な使用法が履行されることが必要であることから,本指針にはプレス機械の安全装置構造指針と併せて安全装置使用指針が含まれている。

 本指針は,プレス機械又はシヤーの安全装置構造規格と表裏の関係にあるが取りあえずプレス機械のみを対象として取り上げている。

 なお,本指針はプレス機械が単独で使用される場合についての安全装置の構造,選択及び使用に関して定めているものであるが,プレス機械が自動化されて使用される場合においても,自動化に伴う新たな危険性を生ずることもあり,これらについては更に検討がなされる必要がある。

 プレス機械による災害の防止が重要な課題として各方面から強く要請されている現状に鑑み,プレス機械による災害危険性を排除して安心してプレス機械を使用するために,本指針が推奨基準として関係者に十分に活用されることを希望する。

 最後に本指針の原案作成に御協力下さった委員各位並びに社団法人産業安全技術協会に対し深く感謝の意を表します。

昭和59年3月10日  労働省産業安全研究所  所長  森 宜制


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