労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-85 の抄録

新・工場電気設備防爆指針 –ガス防爆 1985–

TR-85-1
田中隆二

 当所においては,爆発性雰囲気の存在する危険場所に設置される電気設備の安全化を図る目的で,昭和29年に関係協会等の御協力を得て工場電気設備防爆委員会を組織し,その審議を経て,昭和30年10月に初めて「工場電気設備防爆指針(ガス蒸気防爆)」を制定した。以来,同指針は,当所における研究成果,関係委員会の検討結果,内外における防爆技術の進歩,国際的な規格制定の動向などを踏まえて,すでに過去5回に亘り全面的な改正を行い,今日に至っている。

 防爆指針は,制定以来,一貫してわが国の工場,事業場における防爆電気設備に関する唯一の実用的な推奨基準としての性格を有すると同時に,この間に行われた関係法令,規格等の制定及び修改正にあたっては,それらの技術的根拠を与えるなど,重要な役割を担ってきた。

 防爆電気設備については,最近,世界の主要工業国において,国際規格の導入が進められており,わが国においても国際貿易の拡大に伴い,その必要性がますます認識されるようになっている。このため,当所では,防爆指針の内容を国際規格に適合させるにはいかにあるべきかということについて,昭和55年に社団法人産業安全技術協会に対して,検討を依頼していたところ,今般,成案が得られたので,これを工場電気設備防爆委員会に諮って,新しい防爆指針として制定し,発表する次第である。

 新・防爆指針は,電気機器の防爆構造についての内容を国際規格と整合させることに主眼を置いたが,内圧防爆構造の一部など今後の検討課題としたものもある。

 今後,わが国の産業界が諸外国と防爆電気設備に関して技術交流を円滑に進めて行くためにも,この指針が参考にされれば幸いである。

 最後に,今次の審議にあたり,絶大なる御協力を賜わった産業安全技術協会,その他の関係協会,団体及び委員各位に対して,深く感謝の意を表します。

昭和60年7月1日  労働省産業安全研究所  所長 前 郁夫


高圧配電線路用携帯型検電器安全指針

TR-85-2
市川健二,田中隆二

まえがき

 検電器は,電気作業において,電路の停電を確認するために使用する重要な器具でありながら,これまで一般に参考とされる構造規格が作成されておらず,製造者によってそれぞれ固有のものが製作されてきた。

 従来,検電器は,その検知部を露出充電部に接触させたとき,発光させる機構のものが一般的であった。しかし,最近は検電器に関する技術改良が進み,検知部を露出充電部に直接接触させなくても検電することができるものが製作されるようになってきた。このため,絶縁電線の被覆、上からでも検電が可能となった。しかし,このことは,対象とする電路の検電結果が検電の対象とする電路以外の他の電路の充電の状況,周囲の接地体の状況等によって,大きく左右されることがあり,検電器を使用するに当たって,この問題はきわめて重要である。

 そこで当所では,以上のような問題を検電器の構造及び使用の面で解決するため,昭和58年3月,社団法人産業安全技術協会に対して「検電器安全指針」の原案作成を委託したところ,昭和59年6月にその答申が得られた。その後,当所においてさらにその内客を慎重に検討し,原案に修正を加えたのち,ようやく本指針の完成をみた。

 今後,電気作業を安全に遂行するためにも,本指針が関係者によって広く活用されるよう希望する。

 最後に,原案作成に御協力を賜った社団法人産業安全技術協会及び委員各位に対して,深く謝意を表します。

昭和60年11月30日  労働省産業安全研究所  所長 前 郁夫


静電気安全指針 –応用編追補–

TR-85-3
児玉勉,田畠泰幸,田中隆二

追補の序

 当研究所においては,静電気に基づく災害・障害の防止に資するため,1978年10月に「静電気安全指針」を公表し,広く関係者の参考に供しております。

 静電気による災害等の防止に対する人々の関心が益々高まりつつある今日,当研究所では,静電気安全指針の内容の一層の整備及び充実を図るべく,社団法人産業安全技術協会に対して協力を依頼していたところ,今般,同協会の静電気研究委員会において「応用編」の追補の成案が得られ,当研究所にその報告がなされたので,これに当研究所の検討を加えて,追補として発表することに致しました。

 本追補が関係者において十分に活用され,静電気災害の防止に資するよう切望します。

昭和61年3月20日  労働省産業安全研究所  所長 前 郁夫


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