労働安全衛生総合研究所

技術指針 TR-88 の抄録

新・工場電気設備防爆指針 –ガス防爆 1985 一部修正1988–

TR-88-1
田中隆二,市川健二

まえがき

 わが国の対外貿易摩擦問題の解決を図るため,昭和60年7月に「市場アクセス改善のためのアクション・プログラムの骨格」が政府において決定された。

 労働省においても,これに対応すべく基準・認証制度の改善措置の一環として,電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号)と国際規格等との整合化を図るべく,同規格の一部改正を行うと共に,可燃性ガス又は引火性の物の蒸気に係る防爆構造の規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有するものの「技術的基準」を公表した。

 このため当所においては,今般新・工場電気設備防爆指針(ガス防爆)の一部を修正し,「技術的基準」との一致を図ることにした。同防爆指針が,一部修正により,改めて関係者において活用されれば幸いである。

 なお,同防爆指針における第7編「特定の電気機器及び部品類の防爆構造」及び第8編「電気機器の防爆構造にかかわるその他の事項」についても「技術的基準」の内容に鑑みて一部修正すべき点があるが,これらについては次の機会に譲ることにする。したがって,当面第7編及び第8編については参考として活用されるようお願いする。

昭和63年4月1日  労働省産業安全研究所  所長 前 郁夫 


絶縁トロリー安全指針

TR-88-2
市川健二,本山建雄

 絶縁トロリーは,天井クレーンなどの移動機器に電気を供給するための電気設備であり,裸トロリー線に比べ露出充電部がほとんどなく,感電防止上非常に好ましいものである。

 絶縁トロリーは,わが国では昭和45年頃から開発されたが,当時は規格も整備されておらず,一般に十分知られていなかった。当研究所では絶縁トロリーが感電防止上重要な役割を有することの意義を認め,昭和49年10月に当研究所の技術指針として絶縁トロリー構造基準及び安全指針を公表し,絶縁トロリーの普及を図ることにした。その結果,絶縁トロリーの施設例も増加し,JIS規格の制定(昭和52年),電気設備技術基準における採用(第214条,第233秦)など関係法規の整備に寄与した。

 絶縁トロリーは,単線式のものが一般的であるが,最近は多線式のものも製作されるなどクレーン以外への適用も増加し,益々多様化しつつある。

 このため,当研究所では従来の絶縁トロリーに関した技術指針を改訂し,時代の要請に応えるべく,社団法人産業安全技術協会に対し,改訂(案)の作成を依頼していたところ,今般答申が得られたので,その内容を検討し,ここに公表することにした。

 本指針が絶縁トロリーの普及発展に益々貢献し,感電災害の防止に一層活用されるよう期待する。

 最後に,本指針の改訂にあたり,御協力を賜った産業安全技術協会および審議に参加された委員各位に対し,深く感謝の意を表します。

昭和63年4月7日  労働省産業安全研究所  所長 前 郁夫 


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